従業員の過失を本人に請求させると問題がおこる?
2020/12/17
利益は会社の物、ミスは従業員の責任。
そんなものは通りません。
会社には勘違いしている人も多いです。
従業員の過失による負債を、その従業員に弁済させることに問題はありますか?
Q:当社の従業員の過失により、回収できない商品代が出てしまいました。
役員から当該社員へ話があり、この方に未回収の商品代を負担させるということになりました。支払い方法は毎月の給与から天引きです。
本人は役員じきじきに話をされたこともあり、また反省もあり「払う」といっていますが、会社としてこれは大丈夫なのでしょうか?
もしこの従業員が返済前に退職になったら?そもそも会社あるいは役員が訴えられたら?疑問ばかり出てきます。法的な観点と、会計的な観点、労務的な面などそれぞれの見解をいただけますと幸いです。
A:法的な観点から述べさせていただきます。結論からいいまして、両者ともに違法です。
①回収不可の金額を従業員に請求することについて
この件につきましては、会社に生じた損害を従業員に転嫁するものですから、会社から従業員への損害賠償請求と同視し得る(若しくは損害賠償請求権の行使そのもの)と考えます。厳密な説明は、報償責任に基づく信義則上の問題としてなどになり難解になりますので、簡単にいいます。
つまりは、「従業員を使って普段利益を上げているのに、損害を被ったときだけ、従業員のせいにするな」ということです。
極論として、裁判をしても、従業員が適切な訴訟活動をすればですが、勝てることはほぼないと考えます。
仮に、従業員に故意や重大なミスがあったとしても、全額について認められることはまずないでしょう。②給料からの天引きについて
労働法上の原則として、「給料全額払いの原則」というのがあります。この意味は読んで字の如くです。
給料から一定額の貸付金などを天引きすることは、原則として、この給料の全額払いの原則に反し、違法となります。
例外としては、調整的相殺の場合などがあるのですが、今回はこの例外については、考慮する必要はないと考えます。引用元:https://www.manegy.com/news/detail/428
コメント
従業員がミスをしたから、従業員に請求したいというのは、よくありそうなことです。
ですが、残念ながら請求すると問題になります。
利益を上げたら会社の物、ミスをしたら従業員の責任は、一般的に通りません。
会社が請求をしたとしても、残念ながら社員にやり返されるのがオチです。
会社が恥をかいて終わる可能性が高いです。
上手く理由をつけて訴えたとしても、裁判権の乱用で逆に会社が支払いをしなければならないことになりかねません。